そもそも英語の勉強というかリハビリのために始めたVRChatですが、気がつくと結構毎日ギターを弾いています。
ミュージシャンはオタクが多いのでVRChatのような新しいおもちゃとは相性が良いのでしょう(笑)
いろんなミュージシャンの友だちもできて、楽しいVRChat音楽ライフを送っているので、ぜひ色んな人にもオススメしたいのですが、セッティングなどで苦労したのも事実。
今日はVRChatで音楽をする魅力や、そのために必要な機材やセッティングについてお話したいと思います。
VRChatで音楽を演る魅力

日本は楽器の売上高などを見てもそれなりに音楽が盛んな国です。一方で、音楽を「演りにくい」国でもあります。そんな様々な問題をVRChatは解決してくれますので、そういったところから見ていきましょう。
なぜだか日本人ミュージシャンが多い
冒頭に申し上げた通り音楽オタクと相性が良いのか、VRChatでは楽器を演奏したり歌を歌ったりする人の割合がリアルよりかなり高い感じがします。
ギターを弾いてればミュージシャンが声をかけてくれることもありますし、弾き語りをしている人、パフォーマンスをしている人もたくさんいます。特に日本の地方に住んでいる人にとっては、貴重なミュージシャンの出会いの場として使えるでしょう。
別に自分では演奏しなくても、ミュージシャン同士の会話は楽しいものです。
日本人だけでなく、アジア、欧米問わずに楽器を演奏しているひとが沢山います。英語ができるなら世界中の人と。できなくてもアジア系の人は日本語をできる人も多いので、外国人ミュージシャンとの交流もかんたんに実現します。
お客さんが集まりやすい
売れないミュージシャンのほとんどは集客で苦労しています。僕がやっている沖縄三線とのユニット「井星」はライブ決定から1週間ほどでソールドアウトしますが、これは僕の長い音楽人生の中でも初めての経験です。
ほとんどは知り合いや以前来てくれたひとにメールを送ったり、SNSで告知したりするわけですが、集客力というのは消耗します。毎日ライブをやって集客を維持できる人はアマチュアはもちろん、プロでも数えるほどしかいないでしょう。
この集客が難しい大きな理由に、「行ける範囲しか行けない」という問題があります。従来当たり前でしたが、VRChatのようなメタバースでは物理的な距離が消滅しますので、世界中から音楽に興味がある人が集まるWorld(VRChat内に存在する部屋のようなもの)というのがあるわけです。
その仕様から数十人程度しか入れないこともあり、いつでも盛況なWorldがいくつもあります。週1回のイベントでコンスタントに50人集められるイベントを作るのはリアルだと渋谷でも至難の業ですが、VRChatでは難易度がぐっと下がるようです。
ミュージシャンのレベルが高い
とはいえ、VRChatに参加してくるミュージシャンは全体からすれば一握りです。当然レベルはあまり高くないのでは、、と思いがちですが、これも結構高いです。
肌感覚ですが、リアルな場所で出会うミュージシャンより平均的にレベルが高い感じです。やはりある程度音楽をやり込んだ人でないと、わざわざVRChat上で演奏しようとは思わないのでしょう。
また、SyncRoomというYAMAHAが提供するオンラインセッションソフトからの流入組の存在も大きいです。もともとセッションが好きで夜な夜なオンラインでセッションしていた人たちがそのまんまVRChatで演奏していたりするので、かなりのレベルです。
一方でVRChat上は初心者をバカにしたり排除する雰囲気もあまりありません。少なくとも現時点では、「みんなが気軽に楽しく音楽を楽しめる」環境であるといえます。
VRChatでギター、音楽を演奏するために必要なもの

まだまだ特殊な存在であるVRChatは興味があっても始め方がわからないひとも多いでしょう。ここではVRChatで音楽をするために必要な機材をご紹介します。
- パソコン
- オーディオインターフェース
- マイク・ポップガード
- ヘッドホン
- 楽器
パソコン
現状VRChatはWindows搭載のパソコンでしか動きませんので、パソコンが必要です。できるだけ高性能なグラフィックボードと高速のインターネット回線が必要になりますが、まずは動かしてみると良いでしょう。
VRChatは無料ですので、入れて動作が遅いようであれば消せば良いだけです。
VRゴーグルは必須ではありませんが、将来的にVRゴーグルも使いたい場合は、それなりのスペックのゲーミングPCが有力な候補になります。
オーディオインターフェース
パソコンに音を出し入れするための機材です。VRChatに限らず、音楽を演奏するひとは持っておきたい機材です。
様々な部品や機械が集まっているパソコンから直接出てくる音には必ずノイズが乗りますし、音質も良いとは言えません。オーディオインターフェースを使うことで音の部分を外部機器に任せることになりますので、音質・ノイズ両面で向上します。
高ければ高いほど音質がよくなりますが、1台目であれば1〜2万円ほどで買える初心者モデルで十分でしょう。ここで重要なのは、できれば「ループバック機能」がついているモデルを選ぶことです。後に詳述しますが、楽器と声、またカラオケなどと一緒に音を出すために重要になる機材です。
MOTUのM2あたりはループバック機能もあり、音楽制作の機材としても高性能で人気があるようです。
マイク・ポップガード
VRChatでは主に声でコミュニケーションを取るので、ボーカル以外でもマイクは必須です。歌であればそのままそのマイクに、アコギでもそのマイクに向かって弾けばOKです。
音質的に有利なのはコンデンサーマイクですが、周りの環境音も広く拾うので、部屋の状況によって選べばよいでしょう。僕はAKGというドイツの老舗マイクブランドの比較的安いモデルを使っています。めちゃくちゃ良い音で録れるのでVRChat外の音楽制作にも十分使えます。オススメです。
忘れずに用意したいのがポップガード。ある程度のグレードのマイクには付属してきますが、息がマイクに当たることによって発生するポップノイズを防いでくれるものです。
ポップノイズがうるさい人は結構VRChat上にいますが、正直話していて気持ちのものでは有りません。自然と敬遠される原因にもなりますので、しっかりポップガードを使いましょう。付属していなくても安価で購入可能です。
ヘッドホン
これはVRChatに限らずZoomなどのオンラインミーティングでも見かけますが、スピーカーから音を出しているとその音を再度マイクが拾ってやまびこのようになります。非常に不快ですので、オンラインで会話をするときはスピーカーはオフ、ヘッドホンで音を聞くのがマナーです。
ヘッドホンは何でも構いませんが、ミュージシャンならモニターヘッドホンを一台持っておくと便利。SONYの定番モデルが長年業界標準でしたが、最近はSONYのの新しいモデルが人気のようです。
楽器
で、当然楽器が必要になります。アコギやフルートなどのように生音が出るものはそのまま声用のマイクでOK。エレキギターやシンセサイザーのようにそのままでは音がしない楽器はパソコンかオーディオインターフェース内部でのルーティングが必要になります。
ここが結構厄介で僕はかなり苦戦したので、次の章で詳しく説明します。
VRChatで音楽、ギターを演奏するためのセッティング。ループバックは必要?

VRChatを始めるだけでもパソコンが苦手な人にはハードルが高い上に、そこで音楽を演奏するとなるとまた1段ハードルが上がります。
VRChatで音楽を演奏する場合、大まかに2つのパターンに分けられます。
- マイクからの音だけで演奏する場合。生楽器での弾き語り、ソロギター、ソロピアノなど
- 何らかの配線を必要とする音を使いたい場合。電子ピアノ、エレキギター、バッキングトラック、ルーパー、エフェクトなど
それぞれ見ていきましょう。
マイクからの音だけで演奏する場合。
これに関してはかなり簡単です。VRChatをすでにプレイできているのであれば、すでに声は届いているはずです。その声を拾っているマイクに向かって、ギターなりピアノなりを弾き、歌えばそのまま全部の音が届きます。
とはいえ、自宅で生ピアノを演奏していて、なおかつパソコンの近くにあるというひとは稀でしょう。実質的にはギター弾き語りや、ソロギターの方がメインになると思います。
また、マイクだけ、もしくはマイクとオーディオインターフェースだけの場合はエフェクトをかけることができません。弾き語りならノーエフェクトでも、という気もしますが、リバーブ(カラオケで言うところのエコー)くらいかけられると嬉しいですよね。
ボイパのひとなんかはコンプもほしいでしょうし、ミュージシャンなら素のマイクの音では物足りないというひとも多いはず。
配線が必要な音を出したい場合。
電子ピアノやエレキギター、ターンテーブルやエフェクトなど、生楽器以外はすべて「配線が必要な楽器」になります。カラオケトラックを流して歌いたい場合も同様です。
僕の知る限りですが、大きく2つ対策があります。
- オーディオインターフェースのループバック機能を使う
- DAWソフトとSyncRoomを使う
ということ。
ループバック機能を使う
オーディオインターフェースによっては搭載されている「ループバック機能」。詳しくは別途ググっていただきたいのですが、簡単に言うと「パソコンで鳴っている音を全部VRChatに流し込む」ための機能です。
ゲーム実況なんかでも使われるので、音楽以外の用途でも使っているかたも多いようです。
これを使えば、パソコンにつないだ電子楽器や、ソフトシンセ、エフェクトなどすべてパソコンのスピーカー、ヘッドホンからなる音がVRChatに流れるのでシンプルです。
YouTubeのカラオケトラックを流しながら歌えば、VRChat上ではきちんと両方の音が聞こえるようになります。
注意点としてはループバック機能を搭載していないオーディオインターフェースも結構あること。特に高級機や音楽専門機にはついていません。そういった機材は音楽制作に特化しているので、ネットへの配信などは考慮されていないのですね。
DAWソフトとSyncRoomを使う
ところが現在僕が使っているオーディオインターフェースにはループバック機能はありません。高級機というわけではないのですが、音楽制作に特化して作られているイメージで機能がシンプルなモデル。ちなみにSolid State LogicというメーカーのSSL2というモデルです。
さて、どうするかと色々試行錯誤した結果たどり着いたのが、DAWソフトとSyncRoomを使い、さらにASIOドライバーの専有問題を解決することでした。ちょっとわかりにくいので、詳しく説明していきます。
ループバック機能のないオーディオインターフェースで、ループバックを再現する方法

VRChatを始めたけど、オーディオインターフェースがループバック機能に対応していないひとへ送る解決策です。一時期これがわからず、2台のパソコンと2台のオーディオインターフェースを使っていましたが、これにたどり着いてすべて解決しました。ステップとしては、
- DAWソフトとSyncRoomをパソコンにインストールし、SyncRoomをVSTモードで動かす
- DAWのアウトプットをSyncRoomに、VRChatのマイクをSyncRoomドライバーに設定
- ASIOドライバー専有問題を解決する※重要
順を追ってみていきましょう。
DAWソフトとSyncRoomをパソコンにインストールする。
DAWとはDigital Audio Workstationの略で、要するに音楽制作ソフトです。ソフト内にミキサー機能があるので、様々な音を同時に再生したり、エフェクトをかけたり、ボリュームを調整したりできます。
多くは無料ですが、Cakewalk Band Labという無料のDAWソフトが非常に高機能で使いやすいのでオススメです。持っていないひとはとりあえずこれを入れましょう。
SyncRoomはYAMAHAが提供するオンラインセッション用のソフトです。もともとは様々な楽器やエフェクトをオンラインセッションで使うために、VST用のプラグインが用意されています。平たく言えば、DAWソフトの音をSyncRoomに流すことができるわけです。
DAWのアウトプットをSyncRoomに、VRChatのマイクをSyncRoomドライバーに設定
DAWのステレオアウトプットにSyncRoomのVSTプラグインを設定すると、DAWから出るすべての音がSyncRoomに流れるわけです。
これをVRChatに流す方法ですが、これは簡単です。
VRChatのメニューの音声の部分でMicrophoneを変更して、SyncRoom〜〜に変更するだけ。「そんなの知らない」と思うと思いますが、これはSyncRoomをインストールすると自動的にインストールされるものです。
さぁ、これで準備OK。と思いきや、今度はVRChatの音声が全く聞こえません。こっちの声は届いても、向こうの音やWorldの音が聞こえないのです。どうしたことでしょうか。
ASIOドライバーの専有問題
詳しい説明は省きますが、オーディオインターフェースとWindowsはASIOというドライバによって接続されています。
ところがオーディオインターフェースによっては、このASIOドライバーを専有してしまい、音楽ソフトを使っている間は他のアプリから音がでないという問題が発生します。
DAWのソフトで音楽を作っている最中に、YouTubeを見ようと思っても音が出ないという結構厄介な現象です。
オーディオインターフェースのメーカーによってこの症状が出るかどうか分かれるようですが、僕のオーディオインターフェースではしっかり出ました。
ASIOではなく、WASAPI共有というドライバモードで動かせばすべての音が聞こえるようになりますが、今度はレイテンシーといって音の遅れが発生してとても演奏できません。
そんなこんなで正直諦めていたのですが、ある日VRChat上のミュージシャンから送られてきたこのツイートで改善。なんだか、「こんなことで治るの?」というような解決方法ですが、その後全く問題なく使えているので現段階ではこれが一番簡単な方法だと思います。
そのツイートがなぜか見つからないので、どうするかというと、「オーディオ拡張機能を開く」ということ。
画面右下、時計の横にあるスピーカーのアイコンを右クリックし、「サウンドの設定を開く」をクリックするとこの画面が出てきます。

赤丸部分の「トラブルシューティング」をクリック。

こんな画面が出てきますので、該当のオーディオインターフェースを選択して、「次へ」

となるので、「はい、オーディオ機能拡張を開きます」をクリック。

こんな画面になりますが、左の画面はOK.右の画面はキャンセルをクリックします。
特に何もしてない感じもしますが、なぜかこれで直ります。意味がわかりませんが、まぁ直ればオッケーでしょう(笑)
これが出来なければオーディオインターフェースを買い替えようと思っていたので、数万円は浮いたTipsだったので是非共有したく、この記事を書きました。
皆様も是非お試しいただき、VRChatで会いましょう!